まだ日も昇らない早朝。あまりの寒さに目が覚めてしまった。下手をすると目覚めるどころか、冬眠に入ってしまうところだったとも言える。
石の砦はこうも底冷えがするものか。
朝早いというのに、グレイビアード達はすでに起床していた。
アーンゲール師を呼び止めて、パーサーナックスと面会した旨を伝える。もっとも伝えずとも、師には分かっていたようだ。
ドラゴンレンドに関しても、パーサーナックスが探し方を教えた以上、彼らもその判断に従うという。
そしてドラゴンレンドを学ぶに必要となる星霜の書。この世のあらゆる知識が書かれている巻数の定まらない巻物群とされるが、目下必要なのはアルドゥインを時の彼方に飛ばした一巻のみだ。
パーサーナックスの話によれば、三英雄の一人古きフェルディルが使用して以降、行方が定かでないという。アーンゲール師は何か知っていないだろうか。
むろん星霜の書に関しては、グレイビアード達の管轄外だ。シャウト自体とも何の関係もない。
アーンゲール師の答えも、ありふれたものだった。本の虫である魔術大学の魔術師なら、何か知っているだろうと言う。恐らくその辺の宿の親父に尋ねても同じ答えが返ってくるだろうな。
物事をありのまま、流れゆくままに受け入れる声の道のグレイビアード達にとって、この世の真理が書かれた書の存在は喜ばしいものではないらしい。
アーンゲール師の口ぶりからは、魔法を毛嫌いするノルド達と似たような感情がうかがえる。これは尋ねる相手を間違えたようだ。おとなしく魔術師大学へ行って、物知りそうな誰かに話を聞くのがよさそうだ。スカイリムだと、ウィンターホールド大学というのがあるらしい。
それにしても、パーサナックスにドラゴンレンド習得の機会を与えられたものの、他にアルドゥインを倒す方法はないのだろうか。つまり空飛ぶドラゴンを引きずり下ろし、地上戦で倒すという真っ向勝負以外の方法だ。ドゥーマーの失われた技術などを発掘できれば、あるいは……。
しかしアーンゲール師はパーサーナックスの判断に従いながらも、アルドゥインを倒すということ自体に懐疑的だ。つまり、あれを倒すこと自体がこの世の自然な流れに逆らう行為ではないかとまで考えているらしい。
ドラゴンレンドでアルドゥインを倒そうとした三英雄も、結局は失敗した。星霜の書で時空の彼方にアルドゥインを飛ばすことで、問題を先送りにしただけではないかと。
あるいは、アルドゥインが送り込まれたこの第4期201年こそが、世界に運命づけられた終焉の年なのではないかという意見だ。
運命の流れに身を任せる声の道の教えからすれば、アルドゥインは世界を喰らう者、この世の運命を決める者そのものだ。それに逆らうのは、自然な運命の流れを不自然に変えてしまうことになってしまう。
グレイビアード達は私にとって尊敬すべきシャウトの師匠だ。彼らの信じる声の道も、できることなら尊重したいものだが、こればかりは同意しかねる。わがままな弟子で申し訳ない。
ただこの意見を聞いて、デルフィンがグレイビアード達を嫌う理由の一つが分かった気がした。人生常に攻めの姿勢を貫き、気に食わない運命を自分の意に添わせてきた彼女にとって、彼らは腰抜けにしか見えないだろうなと。
グレイビアード側も、ブレイズを嫌う理由には事欠かないらしい。
パーサーナックスを師とする彼らにとって、ドラゴン狩り集団の彼らは最初から受け入れられない存在なのだ。
私がブレイズの協力を得ているのが気に食わないのも、もっともだ。
いずれ彼らにそそのかされて、私がパーサーナックスを手にかけないか心配しているらしい。
アーンゲール師は私のわがままな決心をありのまま受け入れたうえで、アルドゥイン退治とドラゴン退治は違うのだと釘を刺した。両者を混同し、ブレイズのようにドラゴン殺戮に手を染めないようにと。
師は最後にこう漏らした。
ブレイズのドラゴンへの憎しみと殺戮こそが、世界をおかしくしてしまったのではないかと。彼らがドラゴンに対してああも徹底した態度をとらなければ、人類に味方するドラゴンはもっといたかもしれないというのだ。そうなれば、三英雄とアルドゥインの対決は違った結末をもたらしていたかもしれない。
しかし希望は残っている。喜ばしいことに現代のブレイズは、2名がやっと生き残っている程度。彼らだけでドラゴンの虐殺を再び始めることはできない。もしかしたら今回は、パーサーナックス以外のドラゴンを味方につけるチャンスがあるかもしれないぞ。逆に今回は、英雄らしい英雄は私一人っきりというのが、懸念材料かもしれないが。少なくとも前回と同じ結果にはならなそうな自信はある。
それでは、本格的に世界を救いに行くとするか。
エリクよ、これまで見聞きしたことを忘れないでくれ。世界が滅ぶとか、それを救うとか、にわかには信じがたかったかと思うが。うまくいったら新しい英雄物語誕生の目撃者として、本の一冊もかけるかもしれないぞ。そうしたら、タムリエルのベストセラー作家間違いなしだからな。
半信半疑のエリクを連れて、とりあえず下山する。
次の行き先はウィンターホールド大学だが、私達はいかにも魔法に縁のない脳筋冒険者だ。エリクも魔術師大学に行くのは気が進まないようなので、ここでいったん別れるか。リフテンあたりで魔術師系の冒険者か傭兵を雇って行くのがいいかもしれない。以前あそこの酒場で、魔術師風の傭兵を見かけたことがある。
下山中、ちょうど眼下にイヴァルステッド近郊の林が見えた。シャウトの習得者らしく、幽体化のシャウトでここからダイレクトに下山させてもらうことにした。
エリクはエリクで、一人で村まで帰れるだろう。一足先に悪いが。
高いところから飛び降りるのは、毎度腹の下がヒュッとするものだ。だが意外と癖になるのも事実。シャウトって楽しいな。
さて、あっという間にイヴァルステッドまで下山できた。
しかし降り立ったところは、普段訪れたことのない村の場所だ。崩れた家の中にみすぼらしい男がいるが、あれは誰だろうか。
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1. 待ってました。
今回はPS4版ではなくXbox版なので非公式パッチやフォロワーNPCの美化MOD(Bijin系のあれ)とかunp体型を入れてみたりとかMOD入れるだけで8時間 かかりましたw
まだロードオーダーと動作確認を始めたところですけどw
とりあえず なにが原因かわかりませんが「殴り合い」ができなくなり… ウズガルドさんとかが従者にできずで止まってしまい 気分転換に方向音痴さんのブログを見にきてますwww
本当 MODって奥が深いですね。原因 究明するまで私の冒険はまだできそうにないや(TдT)
Re:待ってました。
ここしばらく忙しくてゲームできなかったので、リハビリがてらまたぼちぼちとやっていくつもりです。ミラークは無理でも、せめてアルドゥインまでは倒したい!
Xbox版ではじめられたんですね。Modは選んでいるだけでもあっという間に時間が過ぎますよね。
Bijinシリーズ入れるとウスガルドさんとかものすごい美人になりますし、競合で仲間にできないのはかなり重大な問題かもしれないです。バニラのウスガルドさんなら、「まあ今回は仲間にしなくてもいいか」になってしまいがちですが……。
「殴り合い」ができず普通の戦闘になってしまうのであれば、PC版でも割とよく聞く症状です。プレイヤーに見えない魔法効果を付与して必要な制御を行っているModを導入していると、「殴り合いで魔法を使った」と誤認されるようです。「Modern Brawl Bug Fix」(Bethsda.netにXbox版があります)を入れると直るみたいなので、まだご存じなかったら試してみてください。殴り合いルールを変更することで、戦闘になりにくくしてくれるみたいです。