パーサーナックスは私の答えに一応満足したようだ。
彼は自分がなぜこの山に住み続けているのか、理由が分かるかと尋ねた。
ハイフロスガーもあることだし、スカイリムで一番高い山でもあるし。ドラゴンは高いところが好きだろうし。
しかし私の答えはすべて外れたようだ。
彼はここがかつてアルドゥインが倒された場所であることを明かした。アルドゥインの壁の中央に描かれていたあの場面は、まさにここで起きたのだ。
しかもパーサーナックスはそれを直接知っているらしい。
当時の声の達人達は、確かにドラゴンレンドでアルドゥインの動きを封じた。しかしそれだけでは十分でなかった。
彼らは星霜の書を用いて、アルドゥインを消し去らねばならなかった。書の力で、彼を異なる時間の彼方に飛ばしたらしい。
同じ話を別の誰かから聞いていたら、おとぎ話か何かだと思ってしまいそうな内容だ。
人間達はアルドゥインに勝ったと喜んだようだが、パーサーナックスは彼らが書の力で何をしていたかよく分かっていた。
時は留まらない。アルドゥインが飛ばされた時代は、必ずやってくると知っていたのだ。
アルドゥインはこの山頂で別の時代に飛ばされた。だからパーサーナックスは彼が再び現れる時代が来るまで、ここでずっと待ち続けたのだ。
この山頂には、アルドゥインが時の彼方に飛ばされた時の穴がまだ残っているらしい。
時に穴をあけたのと同じ星霜の書を再び用いることで、アルドゥインが飛ばされた当時に戻れるかもしれないらしい。
うむ、ますます眉唾な話だ。パーサーナックスから聞いた話でなければだが。
つまりドラゴンレンドは、時の傷跡から星霜の書を用いて当時の過去へ赴き、シャウトを編み出した本人から習うしかないとのことだ。
そうなると、まずは星霜の書がなければ何も始められない。
しかしパーサーナックスも、あの後書がどこに持ち去られたかは知らないという。
そもそもドラゴンレンドも星霜の書も、パーサーナックスがアルドゥイン討伐のために人間達に提案した作戦ではなかったようだ。
彼はシャウトを教えたし、同じドラゴンの中でもアルドゥインの圧政に逆らうドラゴン達も人間に手を貸した。
しかしその後人間達は独自にその力を発展させていったと見える。パーサーナックスは星霜の書を用いてもアルドゥインを倒すことはできないと、反対したようだった。そして最終的に、彼は蚊帳の外にされたらしい。
それでもアルドゥインはドラゴンの王で、ドラゴン達の存在の中心にある。彼が時の彼方に飛ばされた瞬間、すべてのドラゴンは自分達が時から孤立したのを知った。パーサーナックスもここから別の場所にいたが、何が起きたのかを知ることができた。
パーサーナックスの名が、人間達に広く記憶されなかった理由が分かった。人間達がアルドゥインを倒すと決めたとき、人間達はもう彼の援助を必要とはしていなかったのだ。むしろ、討伐計画にケチをつけるお節介な奴だと思っていたのかもしれない。
いずれにせよ、アルドゥイン討伐の要はドラゴンレンドと星霜の書だ。しかもパーサーナックスの言う通り、今回の討伐に星霜の書を使うのは、過去の人間達と同じ過ちを犯すことになるだけだ。書はあくまで、ドラゴンレンドを学ぶための過去を覗く遠眼鏡程度の扱いだ。
しかし人間の造語シャウトを最後に学ぶことになろうとは。
ドラゴンボーンはドラゴンの体を持たないドラゴンだ。果たしてドラゴンの概念にないそのシャウト、聞いただけで学ぶことができるだろうか。常命の概念は、竜の魂を閉じ込める私の肉体がすでに備えてはいるのだろうが。
やってみなければ分からんか。
最後にパーサーナックスは三人のノルドの名を挙げた。
彼の古い友人にして、最初の弟子達。そして彼らがドラゴンレンドを編み出した。
彼らの雄姿も忘れずに目に焼き付けておこう。パーサーナックスは彼らのことが気になっているのかもしれない。その場にいなかったからな。
話が終わった頃にはすでに夜も更けていた。
寒いなんてものではない。エリクは半袖で平気な顔をしていたが、さすがはノルドだ。その寒さ耐性だけでも、古代ノルドの三英雄達に匹敵するのではないだろうか。
寒さに鈍感なノルドは差し置いて、私は一足お先に幽体化のシャウトで下山させてもらう。
ここでドラゴンレンドを覚えてさっさとアルドゥイン退治という胸算用は崩れてしまった。まだまだやることは多そうだ。
長い一日がようやく終わる。
今夜はハイフロスガーに泊めてもらって、翌日パーサーナックスとの会見の首尾を報告するとともに、アーンゲール師に星霜の書について尋ねてみよう。
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