
フォースウォーンのアジトを一掃し、殺した首領のベッドを拝借して爆睡するという、傭兵らしいワイルドな一夜が明けた。
今日は手に入れたヒャルティの剣をオールドフロルダンの幽霊に返しつつ、ハーフィンガル地方へ向かおうと思う。
行程としてはかなりあるので、オールドフロルダンへ寄ったら、カースワステンまで到達出来たらいい方か。

頭の中で地図を思い浮かべながら、赤鷲要塞からマルカルス地方へ下る道を探しているのだが……。
どこだここは。
こんなところで道に迷っていたら、オールドフロルダンへすら到着できるか怪しくなる。

山の中をさまようこと小半時。
下に見えるのは、どうやら赤鷲要塞入り口の洞窟らしい。
一旦降りてみるか。

赤鷲要塞の入り口から、さらにさまよう。
今度はノルド遺跡っぽいものが見えてきた。人がいるから、道を尋ねてみようか。

道を尋ねようと近づいたら襲い掛かられたので、返り討ちにした。
倒れた山賊に声をかけるも、起き上がってくれない。適度に痛めつけて道を尋ねるという選択肢はなかったものだろうか……。
連中の、人の話を聞いてくれないことも甚だしい。

幸い、連中のいたフォー・スカルの監視所は、名前の通り見晴らしのいい場所だった。
しかも監視所の崖下を流れるのは、だれがどう見てもカース川だ。

助かった。これで道に迷わずに済む。
アルゴニアンにとっては、川も立派な道なのだ。すぐに飛び込んで、上流を目指すことにした。

水はかなり冷たいが、生き返るようだ。やはりアルゴニアンは定期的に水泳を楽しんだ方が心身の健康にいい。
ついでに、魚とりも楽しんでおこう。

しばらく川を登っていくと、主をなくした舟を見つける。
どうみても事故を起こしたようだ。

意味深に残される高価な宝石。
持ち主はこの舟の下にでも沈んでいるのだろうか。

潜って探してみた。
残念ながら舟の主らしき姿はなく、上流から流されてきたヤギとハチミツ酒の入った樽しか見つからなかった。

滝のところだけ川から上がってさらに上流を目指す。
川の恵みは豊かなようで、潜れば小魚、サケ、マッドクラブにスローターフィッシュが取り放題だ。さらには、小魚が群れていた水面の上を飛び交うトンボまでポケットにねじ込むことができた。

川のおかげで、オールドフロルダンへ迷わず到着。
魚も大漁だ。
この幽霊は、ずっとここで飲んで待っていたのだろうか。
いずれにせよ、いくら宿の客が少ないからと言って幽霊に居座られていてはたまったものではなかったろう。
剣を渡して、ソヴンガルデかエセリウスへと帰っていただいた。

さて、ちょうど昼食時である。
カース川上りで獲った魚を焼くことにしよう。サケの切り身は、宿の主人にすべて売ることにした。これで当分は、泊り客に振る舞う食事には困らないだろう。
ちなみにポケットいっぱいのトンボは、スクリにやろうかと思ったが、受け取ってくれなかった。
トンボ採りなんて冒険者さんは気楽でいいねと言わんばかりのスクリの冷めた視線が、ちょっと鱗に刺さった。ちょっと頼りない母に代わって宿を仕切る彼は、大人より大人っぽい少年だった。

獲れたての魚はやはり新鮮だ。骨までバリバリおいしくいだだける。
飲み物は、あの転覆した舟の下に沈んでいたハチミツ酒だ。こちらもある意味獲れたてだ。川の水でしっかり冷えている。
この素敵な昼食でしっかり腹ごしらえをしたら、カースワステンへ向けて午後の旅を始めるつもりだ。
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