
王の宮殿を後にし、馬小屋へ向かう。あの謁見で、朝からすっかり疲れてしまった感じだ。
帰りは馬車でホワイトランへ手早く向かおう。

朝早いので、我々が一番乗りの乗客だろうか。
などとのんきに考えながら御者に話しかけようとした時だった。

重たい風が上から吹いたと思ったら、ドラゴンが大地に降り立った。ウィンドヘルムの城門前が一気に騒がしくなる。まったく、今すぐにでもウルフリックを宮殿から引っ張り出して、脅威がどれほど差し迫っているか見てもらいたいものだ。
御者は大慌てで逃げていき、馬小屋の主人もどこかへ隠れたようだ。むしろこれは好都合。
無駄に死人が出ないうちに、さっさと倒してしまおうか。

ところが私がドラゴンへ突っ込むより早く、黒い影が隣を追い越していく。
見れば、馬小屋の馬である。それは勇猛果敢にドラゴンへと挑みかかった。
スカイリムの馬は、みんなこんなのだろうか。それともウィンドヘルム産だからだろうか。

馬の勇猛果敢さに驚愕したが、とりあえずもドラゴンレンドでドラゴンを地上に縫い付ける。
リディアも重たい両手斧を担いで追いついてきたので、戦力は倍増だ。
馬も相変わらずドラゴンの周りをぐるぐる走り回って、間合いを取ろうとしている。
どう育てたら、竜にも襲い掛かる勇敢な馬になるんだ。

馬がドラゴンの鼻先で躍り上がって攻撃した。
もはや馬の大胆さには驚かないが、これは先ほどの馬と違うような……。別の馬が来たのか。
あの馬小屋には、勇者の馬しかいないのか。

ドラゴンに止めを刺し、馬小屋へ帰っていく馬。
その背中がまぶしく見えたのは決して朝日のためだけではない……。

ドラゴンの魂がほぼ自動的に私へ吸い込まれると、港で仕事をしていたアルゴニアン達がわざわざ見にやってきた。
彼らは頭の中が真っ白だというが……。それはきっと、ドラゴンを倒した馬に向けて言っているのだな? だとしたら、全力で同感である。私はほとんど何もしていなかった。

朝っぱらから、すごいものを見せつけられてしまった。
金がたまったら、ウィンドヘルムの馬を一頭手元に置こうか……。アルドゥインも倒すかもしれん。ここの馬達は。

夕刻、ホワイトランへ到着する。
ウィンドヘルムを出発するときは快晴だったが、ホワイトランへ近づくにつれて天気が崩れてしまった。
今夜は雨だれの音を聞きながら眠ることになりそうだ。

ダニカに苗木を届けに風地区へ。
こんな遅くというのに、ルシアがベンチに座っていた。これで宿の隅にでも泊めてもらうといい。引き取ってやりたいとは思うが、ブリーズホームでは手狭すぎるのがもどかしい。

聖堂でダニカに小さな苗木を見せると、彼女は露骨に落胆を示す。
聖堂の運営も大事だが、そのために信仰心を失えば元も子もない。

ジョンドレレ氏のありがたいお言葉を、彼女に伝えた。
彼女にはすぐに通じたようだ。

一介の巡礼者に司祭が諭されるとは。修行のし直しだぞ。

彼女にとっても、聖堂を訪れる信者たちにとっても、長い話になりそうだ。
この小さな苗木が大木に育つまで、どれほどの時がかかるのだろう。
しかしこの木を守り育てる名誉は、今の彼女達にしか与えられないものでもある。

すべてが解決し、再びわが家へ帰ってきた。
明日にはまたすぐソリチュードへ行かねばならないが。

束の間の休息。
アルドゥインを倒したら、またここへ帰ってきたいものだ。

ネトルベインは、壁に飾っておくことにする。
イリアに管理を頼むのもいいが、善人に目覚めた彼女はこの汚らわしい刃物に触るのを嫌がるかもしれないから。
前へ |
次へ
1. 無題
そして馬にボコボコにされるドラゴン可哀そう...
Re:無題
港のアルゴニアン達がドラゴンの骨に駆け寄ってきて「頭の中が真っ白だ」と言うセリフ、自分も別の意味で同じ感想でした(笑)