サケステーキ・パーティー翌日の朝は早かった。
なにしろ一刻も早く聖域に付きたいジョンドレレ氏が急かすのだ。
道のりの半分はこの間通ったばかりの場所だから、安全かと思われた。
むろんスカイリムに絶対の安全があるはずもない。
帝国軍の鎧がいかにも似合っていないこの連中。
言わずもがな山賊である。帝国軍とストームクロークの戦闘で兵士の死体がゴロゴロあるから、鎧を盗んで兵士のふりをするのは実に簡単なことだ。
通行料を要求するニセ帝国軍。
以前の私であれば、素で金がなかったので断る以外になかったのだが、今は金がある。
そのうえで、あえて断ろう。お前たちに払う金などない。
当然ながら戦闘になる。
しかし戦い始めてハタと気が付いた。今の私は、巡礼者を護衛する身でもある。
彼を危険に晒すくらいなら、100ゴールドで山賊を追い払った方が安全だった。
ところがである。
戦闘を終え、さぞかしジョンドレレ氏に怖い思いをさせてしまったと反省し、振り向いた。
謝罪の気持ちでいっぱいだった私の目に映ったのは、両手槌を構える巡礼者の姿だった。
聖域への旅を邪魔する奴らは、デイドラだろうが成敗しそうな勢いである。
ジョンドレレ氏は、山賊から奪い取った両手槌を当たり前のようにその背中にしょった。
その雄姿はもはやリディアより頼もしく見える。
まるで守護神のような姿になったジョンドレレ氏を最後尾に、先を急ぐことにした。
その先に、再び山賊が現れる。
だが私の目にはもう、彼らはジョンドレレ氏が持つ両手槌の錆になる未来しか見えないのだが……。
旅を邪魔する者は何人たりとも許さない。
ジョンドレレ氏、怒りの猛攻が始まった。
重たい両手槌を手にしているとはいえ、彼は鎧を身に着けていない。一度走り出すと、私もリディアも追いつけなくなる。
さすがに一人で突進されると困りものだ。
ようやく追いついた時、彼は傷を負っていた。言わんこっちゃない。どんなに信仰心がぶ篤くても、鎧替わりにはならないのだ。
だが、矢で左胸を打たれたくらいで彼は止まらない。ここまで来ると、山賊の方が彼を恐れだす。防具を身に着けず、両手槌一本で大勢の山賊に襲い掛かるさまは、ノルドの狂戦士以上のクレイジーさだろう。
山賊の方はジョンドレレ氏とリディアに任せても良さそうなので、私はおとなしく昼ご飯でも準備して戦闘終了を持つことにした。
一仕事終えたジョンドレレ氏とリディアにベイクドポテトを振る舞い、運動の疲れを慰めてやったところでそそくさと旅を再開する。
聖域への旅をぐずぐずしていたら、私の方が両手槌の錆になりかねない。
イーストマーチの森を行く。
分かれ道に道しるべがあるが、通い慣れた道なので見なくてもどちらへ行けばいいか分かる。
ストームクローク兵を捕えた帝国軍ご一行をすれ違い。
休戦協定が結ばれたら、こういった光景もしばらくはなくなるのだろうか。
夕刻前、ダークウォータークロッシングへ到着した。
今夜はここで止まって、明日の朝一番で聖域を目指すことにする。
焚火のそばでくつろぐも、まだ夕食には少し早い時間だ。
何をして時間をつぶそうか。
そういえば、デルキーサスがここの魚はうまいと言っていた。
せっかくなので、アルゴニアンらしく魚捕りで時間をつぶしてみよう。
もちろん、滝の上までは泳いでいかない。そのせいで、デルキーサスはひどい目にあったのだから。
素潜りの結果。頑張ればまだまだ取れそうなくらい、豊かな水場だった。取りつくすわけにもいかないので、今夜食べる分だけでいいだろう。
毒がありそうな魚も混じっている気がするが、まあ火を通せばいけるか。
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1. 無題
道中もしっかりとストーリーが伝わる日記は読んでいて面白いです!
ちょくちょく拝見するかと思いますのでこれからも頑張って下さい!
Re:無題
のんびりしすぎててアルドゥインに5、6回世界を喰われてもおかしくないくらいの進みですが、この調子でボチボチやってまいります!