夜が明けた。私にとってはこれが運命の日の朝になるかもしれない。
ここから先は一人だ。世話になったカトリアとは、アルクンザムズの調査再開を約束していったん別れることになる。
マーキュリオとヴォルスタグともお別れだ。
アルクンザムズ調査の折には、二人を誘うと約束した。なにしろ我々は、ドゥーマー遺跡探索のプロになったのだからな。
世界のノド山頂を目指して、いざ出発だ。
また一人になって心細さはあるが、それ以上の身軽さを感じている。
足取りは軽く、天気はこの上もなく快適だ。スカイリムの冬でこうも晴れて暖かいとは。
ホワイトラン近郊はよく行き来していたせいか、狼や山賊も排除されて実に平和だ。
しかし、思いがけずスプリガンに遭遇する。スプリガンの後ろにいるオオカミは、どうやらスプリガンに操られているらしい。体に緑色の光が浮き上がっている。
しかしスプリガンの洗脳より、キナレスの加護の方が強かった。
狼は私の方をただ見ているだけでなにもしてこない。スプリガンはなんの助けもなく、一人で襲い掛かってきて我がシャウト「ファイアブレス」の餌食となった。
スプリガンが死に、洗脳の解けた狼が遠吠えを上げる。
よく見れば、道端に狩人が倒れていた。スプリガンはこの狩人を追いかけてここまで出てきたようだ。
自然の守り手かもしれないが、そのために獣を操って戦わせる手法は、キナレスの意に沿わなかったということか。
今回も、山越えの道を選んで行く。リディアに教えてもらって以来、この道がお気に入りだ。
このまま街道沿いにいったんイーストマーチ地方へ出てイバルステッドを目指す経路もあるが、山賊が陣取るヴァルトヘイム・タワーを通らねばならないのが難点なのだ。
登るにつれて雪が深くなるが、この好天では景色の美しさの方が難路に勝る。
道のりは順調に進み、イヴァルステッドまでやってきた。
あの雲がかかっている山が世界のノドだ。
時刻は午後三時過ぎ。
このまま登山へ入ろう。一刻も早く、この星霜の書を年寄りドラゴンに見せたい。
ハイ・フロスガー近くまで登ると、吹雪が吹き始める。
晴天の空のシャウトでこの吹雪を払えるだろうが、雪崩も怖い。ここは我慢して進む。
日も暮れて夕食時。
ようやくハイ・フロスガーが見えてきた。
この間来たばかりな気がするが、今回も手持ちの食料を奉納していこう。
これから時間を旅するかもしれないのだから、身はできる限り軽い方がいい。
時間を旅するわけではないが、なんとなく日持ちのしなさそうな食料を入れておく。
この寒さだと、永久に腐らなさそうな気もするが。
グレイビアード達は、熱心にそれぞれの場所で祈りをささげていた。
声をかけて邪魔をするのも悪い。ここで夜を明かそうとも考えたが、星霜の書を読むという行為はどこか背徳的だ。こういうことは深夜に誰にも見られずにコソコソやるものだ。
そういうわけで、このまま山頂目指して登り続けることにする。
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