今日は4時起きである。
出来れば馬車でドーンスターに着いた後、もう少し歩ければと期待してのことだ。
昨晩から気になっていたが、ボーンストレウン山脈のドラゴンの咆哮がうるさい。
カイネスグローブの住人は寝られるのだろうか。
ドラゴンはあたりの生き物すべてを威嚇するかのように、吠えながら山の周りを旋回し続けている。
無駄な戦闘は避けたいので、ドラゴンに見つからないよう地形に身を隠しながらウィンドヘルムを目指そう。
明るくなってきた。
眼下にクモの巣っぽい洞窟が見えるが、今は無視するか。キナレスの加護を受けている今なら、平和的に探索して無傷で出てこれるとは思うが。
ボーンストレウン山脈がだいぶ遠くなった。飛び回るドラゴンの姿はまだ見えるが、ここまでくれば身を隠さずとも見つかることもないだろう。
おや、こんなところにドラゴンの墓。……以前も見た気がするが、その時はすでに復活後だったろうか。ドラゴンなんかたくさん倒しすぎて、どれがどこ墓の出身か忘れてしまった。
方向音痴にはつらい、道なき道を進む数時間。ようやく街道を発見できた。巨人が通行中ではあるが。
さあ、ウィンドヘルムだ。
ちょうどカジートキャラバンが来ているので、彼らに薪を売って馬車賃にしよう。製材所で売るよりだいぶ安く買いたたかれてしまうが、今は時間の方が惜しい。
ドーンスタへは50ゴールド。
薪十本分か。
やはり街中へ入って薪を売った方がよかったかもしれない。
後悔しても仕方がない。
少なくとも今日は後悔が似合わないほどの、見事な晴天だ。安全な馬車で日差しを楽しみながら足を休めるとしよう。
午後4時ドーンスターに到着。ん? この町は初めて来たのか。
この時点で微かな違和感を感じる。
初めて来た町は、他の町にもれず多くの問題が発生しているようである。
ここの首長はいかにも脳みそ化石のご老体だな。
食料調達に立ち寄った宿でも、なにやら悪夢の話題が。どれも初耳の話であるので、私がこの米tに来るのは、本当にこれが初めてであるらしい。
おかしいな。飽きるほど北記憶があるのだが。スカイリムの旅行ガイド本か何かで読んで、何度も来た気になっていたのだろうか。
町の人々を悩ます問題は置いておいて、食料補充だ。今の私にはアルフタンドを攻略してブラックリーチに入り、星霜の書を手に入れて世界を救うことにある。
とりあえず寒さよけのアルコールを買い込むことにしよう。度数高めのアルゴニアンエールはお勧めだ。金に糸目をつけないなら、アルゴニアン・ブラッドワインが一等だが。
日の傾きかけた屋外に出て、町について以来感じていた違和感の正体が判明した。
……間違えた。馬車で来る町間違えた。アルフタンドに行くなら、ウィンターホールドの方が近いではないか!
後悔してももう遅い。私はドーンスターにいて、今日という日は間もなく終わりかけている。
こうなったら意地でも今日中にアルフタンドについてやろう。
軽い夕食をドーンスター東の帝国軍の野営地で摂り……、
さらに歩き続けて雪に覆われた峠へ。
明るい建物が見えるな。夜に急ぎの旅をする我々のような冒険者にはありがたい。
明るい建物は灯台だった。今夜のマッサーもまた見事だ。灯台と絵になる。
ん? 馬の死体が転がっている。灯台の人に教えた方がいいのだろうか。
……不吉な予感もするし、このまま通り過ぎることにした。
峠を越えると、彼方にアルフタンド遺跡のある氷の崖が見えた。
日が変わる前に辿り着けて良かった。
天気はいいが、今夜は遺跡の中で過ごそう。ファルメルはこの間一掃したから安全だ。
カトリアも今夜早速アルフタンドに足を踏み入れることができて、嬉しそうである。
彼女もこの遺跡は初めてのようだ。
アルフタンドのエレベーター前まで来た。幽霊のカトリアが不寝番を務めてくれるので、私達はゆっくり休むとしよう。
さあ、明日はアルフタンドの最終探索だ。
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