痺れるような寒さの夜が明けた。
カトリアが起こしてくれなければ、そのまま冬眠していたかもしれない。
私達はイリナルタ湖沿いの街道から、リバーウッドへ続く道へと入った。
願わくば今日はリバーウッドを抜けてホワイトランまで到達したい。
道中、街道沿いからブリーク・フォール墓地の姿を望んだ。まるで山の峰のような巨大アーチがいくつも並んでいるのが見える。
これまで様々なノルド遺跡を探検してきたが、ここまで立派な墓はそうそうなかった。言葉の壁があったことや、スカイリム中の竜の墓が記された石板が埋葬されていたことを考えると、ここの主はドラゴンボーンだったりしたのだろうか。
11時頃、リバーウッドに到着した。村は相変わらず平和だ。
ブレナインも相変わらずのようだった。ホワイトラン衛兵達も、彼がしらふでいるところを見たことがないらしい。
スリーピング・ジャイアントへ寄り、遅めの朝食をとることにする。
オーグナーは一人で宿を切り盛りするのにすっかり慣れたようだ。慣れたからと言って、宿のサービスが向上したわけでもないが。彼の出すエールは、今日も腐っているのだろうか。
ここに来て腐ったエールで腹を壊すのは避けたい。
朝食は手持ちの食糧で済ますことにした。リンゴのパイとトマト、そして蜂蜜酒。
当然だが、マーキュリオとヴォルスタグの食事も私持ちで出した。二人分の食費くらいなら、今後もそこまで負担ではないだろう。何よりカトリアの食事代が全くかからないのはありがたいものだ。
朝食を済ませれば、あとはホワイトランを目指すばかりだ。
せっかくなので、村を暇そうにうろついていたレイロフに声をかけた。帝国軍に指名手配されているとはいえ、村に引きこもってばかりでは退屈だろう。対して目立つ容貌でもなし。その辺のノルドとしてはよくある顔だから、衛兵に見つかっても気づかれることはあるまい。
ホワイトランへの道のりは極めて順調だった。
スカイリムで一番暮らしやすいところだと思う。この地で自宅を買って正解だった。アルドゥインを倒したら、ここを拠点にのんびり余生を過ごすのもありだな。その時は、農地も買ってみようか。セベリオ・ペラジアの堅実な生活に、少しばかり憧れているのだ。
そうこうするうちにホワイトランへ到着だ。居候させているイリアは、市場を散策中だった。元気そうで何よりだ。
特に気にしてもいなかったが、ヘイムスカーも元気だった。彼の演説はすでにホワイトランの日常の風景と化している。妙に熱のこもった演説はうるさい以外の何物でもないが、なければないで寂しいものがある。
まともに内容を聞いている人はまだいるのだろうか。
ホワイトラン到着で今日の旅の目的は達成された。
午後からの時間は、次の旅へ備えるとしよう。おそらく私の人生で最後から二番目の大冒険となるブラックリーチへの旅だ。戻ってきた時に備え、「我が家」を完成させる。
プロベンタスに会いに行き、未購入だった各部屋の内装を一気に買い上げた。
従者リディアも、これで晴れて一国一城の主に仕える身になった。
自宅にキッチンがないばかりにドラゴンズリーチまで食事に出ていたようだが、今日からは自宅で自炊ができるぞ。なにより、毎晩あの真っ暗な空き家同然の家に帰らなくて済むぞ。
もっとも今夜はこれからみんなで酒場に行って、祝杯を挙げることになるが。
家らしい家を持ち、その町の酒場で晩御飯を食べるのはなんと幸せなことか。
レイロフとはヘルゲンで手に入れていたジュニパーベリー入りの蜂蜜酒を酌み交わし、リディアとイリアにもエールとワインを奮発した。
宴もたけなわ。追加の食事を注文しようとして、懐がすっかり空になったのに気付いた。
ある意味すがすがしい気分だ。今夜はこの辺で引き上げることにする。
……あ、しまった。1ゴールドくらい残しておくべきだった。
金の使い方に少々失敗したが、ルシアには手持ちのアップルパイで勘弁してもらった。
そしてとうとう「自宅」へ帰る。
そこには赤々と燃える暖炉と、絨毯の敷かれた部屋が待っていた。今夜はこの文化的環境を思う存分満喫して休めるのだ。
鎧を脱いで寝巻に着替えて、冒険者ではなく一般市民のようにベッドへ入るとしよう。
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1. 無題
地底世界ってロマンがあります。なんかこう未知の何かがありそうで。
実際、私もつい最近ブラックリーチでの探索を終えまして、今は某Modを使って「戦闘区画」を自分の家とするべく奮闘中です。
ただやっぱりもう少し色々とエピソードやらモンスターやら、追加要素をドーンガードで公式には入れて欲しかった……ESOで補完するって感じみたいですが。
ところでブラックリーチのModって制作が難しいんですかね? Nexusを見てもあまり数がヒットしないですし、PS4にある改変系Mod(といっても、二つだけですが)もバグがあって使えないので、ふと疑問に思いました。もしくは、単に人気がないだけなのか…
Re:無題
ブラックリーチでのMod作成はやったことがないのですが、他のModより作るのが難しいということはないと思います(天井を覆う岩が作成の邪魔になるかもしれませんが)。ただ独特の雰囲気なので、世界観を壊さず追加要素を入れるのが難しくて敬遠されるのかもしれません。建物を建てるにしても、ドゥーマ様式以外だと浮いて見えますし。
同じく独特の雰囲気であるソウルケルンに家Modがほとんどないのと同じ理由だと思います(交通の便が悪くなりがちというのもありますが)。