今日はゴースト・シーの氷原を行く。
……口にしただけで死にに行くような言い回しだ。しかしセプティマスとかいう人物が行けたのだから、我々にも行けるはずだ。彼がまだ生きていることを願うのみ。
夜明け前のウィンターホールドには、雪がちらついていた。シャウトでも晴れない天気は、やはり魔法的ななにかの影響を受けているのだろうか。吹雪にならなければいいのだが。
大学脇の下り坂から海辺まで降りる頃には、雪はいったん降りやんでいた。
下から見上げる大学の立地は、まるで逆さピラミッドだ。大崩壊のせいで崖の足元が削り取られてああなったのだろう。しかし強風が吹けばそのまま倒れてしまいそうな危うさだ。
氷原を行くなら敵はホーカーぐらいだから、護衛はいらないだろう……と留守番を表明していたマーキュリオ。
しかしセプティマスという魔術師を話をする可能性がある以上、難しい話を私に代わって聞く要員が必要なのでついてきてもらった。彼は早朝からひたすら寒さに関して愚痴っている。魔術師なら、炎のマントでも出して寒さをやわらげればいいのに。どうやら彼はその魔法を知らないらしいな。
寒さは殺人的だが、道のり自体はいたって平穏だ。敵らしい敵の姿は見当たらない。ノルド遺跡っぽいものが目についたが、近づかなければいいだけだ。
海岸線を歩いていくと、氷がたくさん浮かぶ地点が見えてきた。氷の上を伝っていけば、海に足をつけることなく北へ向かえそうだ。
目につく生き物は、ホーカーとスノーウルフ程度。キナレスの加護があるので、こちらが襲われる心配は一切ない。
途中、スノーウルフの狩りに遭遇し、ホーカー肉のおこぼれに預かった。宿に戻ったらステーキにしよう。ホーカーの肉が嫌いな者などいないからな。
ホーカーだらけの岬まで行ったところで、地面が尽きた。
しかし氷の浮かぶ海が先に続き、その氷の間で小舟が揺れている。近くには氷山のくっついた小島。もしかして、ここに誰かいるのだろうか。
半ば信じがたいが、セプティマスの居場所にたどり着いたようだ。こんなところでどうやって生活しているのだろうか。
恐る恐る氷山の穴へと入ってみる。ひんやりした氷の穴の中に、凍死体を一つ見つけるだけだと想像していたが、それは見事に裏切られた。
真っ先に目に入ってきたのは奇妙な金色の箱だ。そしてその前をうろうろするローブ姿の老人。わずかな家具。
老人こそが私達の求めるセプティマスだった。
ドゥーマーに魅せられているのが丸分かりなセリフを開口一番に吐く。
話は早いほうがいい。ことに相手が変人であればなおさらだ。私も開口一番、星霜の書について尋ねることにした。
セプティマスは突然の来訪者にも驚かない。当たり前のように私の問いに答えた。彼独自のやり方でもって。
言っていることは抽象的だが、意味が取れないこともない。どうやら星霜の書の大半は帝国が所持していると言いたいのだろう。
しかし例外が少なくとも一つあるという。
没収された書は、簡単には手に入れられない場所にあるようだ。
では、書は誰に没収されたのか。それは果たして私が求めるアルドゥイン封印に使われた書と同一なのか。
少なくとも、書はドゥーマーが持って行ったらしい。賢いドゥーマーは、失明することなく書が読めたのだろうか。
いや、ドゥーマーは独自のやり方で書を読む方法を残したらしい。
その方法はブラックリーチのどこかに残されていると。
ブラックリーチとはどこだろう。ドゥーマーが暮らしていた場所のことだろうか。
そこはアルフタンドという場所の穴から行けるらしい。
ドゥーマーの暮らしていた場所というくらいだから、地下なのだろう。そしてアルフタンドは、ペイル地方にあるドゥーマー遺跡の名前だ。過去、そこにドゥーマーの都市アルフタンドがあったらしい。
セプティマスは二つの物体を私に差し出した。一つは球体。一つは立方体だ。どちらもドゥーマーの金属でできている。
彼の話によると、球体は門を開ける鍵のようだ。
そして立方体は、知識が入る箱らしい。
ブラックリーチのムザークの塔という場所に、書を読み解くドゥーマーの仕掛けがあり、書もそこに残されている。そこで装置を使って立方体の中に書の知識を注げという。私は書を手に入れ、セプティマスは立方体に収められた書の知識を手に入れられる。セプティマスは書自体よりも、書の内容に興味があるからそれでいいのだという。
しかし書の内容を立方体に注ぎ込む装置とはいったい何なのだろうか。さっぱり想像できない。
書を読めば目や頭が使い物にならなくなるのは、賢いドゥーマーでも同じことのようだ。
だからドゥーマーは考えた。目や心を傷つけずに内容を取り出す方法。
セプティマスはそれを「抜け道」と表現した。要するにドゥーマーはズルを考え付いたわけだな。
立方体に収められた知識からは、危険が取り除かれているという。
ドゥーマーはすごいな。帝国は今すぐすべての星霜の書をムザークの塔に運んで、一巻ずつ知識を立方体に取り出していけばいいのではないか。そうすれば、アルドメリとの戦争もあっという間に解決できるだろうに。
セプティマスは書から得た知識で何をしたいのだろうか。
尋ねると、彼は巨大な箱を指さした。この箱を開けたいのだそうだ。宝箱かと問い返すと、ここに神の心臓が入っているという。ロルカーンの心臓のことを言ってるのだろうか。あれは破壊されたと聞いたが。欠片でも入っているのか。
とはいえ、箱の中身は開けてみないと分からない。書の知識さえあれば、箱を開ける方法もすぐに分かるという。
とりあえず、書の在処が分かったということでいいのだろうか。セプティマスは明らかに変人だが、少なくとも書に関して嘘や不確かなことをいう人物ではないことだけははっきり分かる。
次の目的地はアルフタンドになったな。
立ち去り際、この何もない氷の穴になにか食べ物でも置いていくことにした。
どこに食べ物を収めようかとタンスを漁ると……。
セプティマスがおかしくなったのは、書の研究にのめり込み過ぎただけではないような気がしてきたぞ……。それとも、こんなものでも飲んでないとやってられないほど常軌を逸した研究だったのか。
とりあえず飲むワインには事欠いてないようなので、パンと秘蔵のビーフシチューを置いておくことにした。
さて、またウィンターホールに戻るとしよう。
遠くにうっすら大学の建物が見えるから、遠すぎるほど遠い場所でもないようだ。
帰りの天気は比較的穏やかで、厚い雲の切れ目に青空さえ見える。
大学へ帰りついた時間が午後3時過ぎだったので、頑張ってイーストマーチまで歩くことにした。
行きの馬車はあるが、帰りの馬車がないのが不便なウィンターホールドだ。
午前中は極寒の氷原を。午後は吹雪の雪原を。
寒さでしっぽがちぎれなかったことだけは幸いだ。マーキュリオなどは、手足の指が全部しもやけになったかもしれない。
平和だった氷原と異なり、雪原を貫く街道では危険ばかりが待ち受けていた。
賞金稼ぎのノルドに襲われ……、
挙句の果てには闇の一党の刺客だ。いつの頃からかちょくちょく襲ってくる。もういい加減飽きたぞ。
刺客を仕留め、所持品をあらためる。闇の一党のメモは、もう見る気にもならない。回復薬だけ没収しておこう。用心深いのか、意外とたくさん持っているな。
回復薬を配達しに来てくれたとでも思えば、腹も立たないか。
山を越えてイーストマーチに入る。
夜が更けて空がオーロラで輝きだした。いい目の保養だ。
偶然出会ったムアイクのおしゃべりを聞いていると、美しい夜空をドラゴンの影が横切った。なんとも絵になる光景だ。
……距離が遠いから、対処しに出向く必要はないだろう。
深夜過ぎ、ナイトゲートに到着した。久しぶりに来た気がする。
ここから北に行けばアルフタンドの遺跡が近いので、明日はあそこの下見に行くとしよう。
夕食はリンゴのパイとエール。甘さ控えめにリンゴの酸味が効いてうまい。
暖かな焚火に凍えた手足と尻尾をかざす幸せよ。やはり火はいいものだ。
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1. お久しぶりです
前回コメントしてからもMOD作成を続けていて、しばらく前に全フォロワーに対応してアビリティを作成することができたのですが、管理用ダイアログを全く作成したことがなく数か月お手上げ状態にでした…(笑)
GWに気合を入れて再開し、こちらで解説されている既存scriptを使用した会話からクエストの開始/終了記事を必死に読み(笑)、ゲーム内でアビリティの管理が可能になったので「Co-star Compatible FollowerAbility」という名前でNexusにアップしました。
結局私にはAIパッケージは難しかったのですが、アビリティ追加に終始することで外見、perkだけでなくジョブAIとも競合する箇所が無いMODに仕上がりました。以前仰っていたリディアに所持重量追加も+50で実装しています(笑)
長くなってしまいましたが、各記事大変参考にしました(特に既存アセットについて。scriptを一から勉強していたら完成は夢のまた夢だったと思います)ので、UNIさんのお名前をスペシャルサンクスに記載させていただきました。(もしお嫌でしたらば、お声いただければ削除します。)
Nexusだけでも見ていただけたら幸いです(笑)。改めまして、ありがとうございました!
Re:お久しぶりです
早速リディアさんを荷物持ち(笑)に、セラーナ嬢とエランドゥルさんを連れて冒険してきました。特にセラーナさんがコウモリ化の能力を使ってくれるのが感動です。さすがコールドハーバーの娘。バニラだと普通の吸血鬼と変わらない戦い方でしたから。
ほかのフォロワー達は旅Modでパーティーを組ませてスカイリムを放浪させていたのですが、仲間として雇っていない時でもちゃんと特殊能力を使ってくれるんですね。街道を歩いていたら交戦中の騒ぎが聞こえ、NPC同士の戦闘ではあまり聞いたことのない効果音が鳴ったので急いで駆けつけたら、ボルガクとゴーバッシュがバーサクを発動させていました。
これだけしっかりフォロワー達に個性がつくのに、美化Modやその他強化Modなどと競合の心配なしに使えるというのはかなりの魅力だと思います。頭を悩ませることの多いロードオーダーも、どこに置いてもまず問題なし。個人的に一番うれしいのが、espファイル一つだけで動くModなので、手動でも管理しやすいことでしょうか。内容が充実しているのに構造はシンプルで競合の心配がないModって、いいですよね。
楽しいModありがとうございます! 今度はソルスセイムに行って、セロとラリスのコンビでカースターグ退治をやってみようと思います。ラリスにアージダルのマスクを持たせるとドラゴンプリースト召喚って、洗脳が本当に解けているのかちょっと不安でもありますが(笑)