偶然立ち寄り、思わぬ縁を結ぶことになったオーク要塞で、一晩を明かした。昨日は午後からたっぷり休ませてもらったおかげか、目が覚めたのはまだ余も明けない午前4時だ。
今から出発すれば、今日中にリバーウッドに到着するのも難しくはない。
私が要塞の門をくぐるかくぐらないかのうち、どこからともなくドラゴンが飛来した。
デルフィンから得た竜の墓の地図と、その復活状況から推察するに、リフト地方からアルドゥインは仲間を蘇生して回っているようだ。となれば、ドラゴンの危険が最も大きいのはリフト地方になる。
ただ、それを差し引いても今日この時間に来なくてもよさそうなものなのに。巨人襲撃と言い、このオーク要塞はどこまでも呪われているようだ。
幸い、オーク要塞のオーク達も臆さず助太刀してくれた。むしろ彼らの風習からすれば、喜んでというべきだろう。ノルドより向こう見ずな連中だ。
墜落し、群がるオーク達にとどめを刺されたドラゴン。
最後には私に魂を吸収されて骨と化す。
私が魂を吸収したのを見て、エズバーンがひときわ驚いた。
言葉だけでドラゴンボーンと名乗るより、実際を目にした方が説得力がある。
老人は興奮気味に、古代から伝わる伝承やドラゴン研究が間違っていなかったと語って喜んだ。
なかなか有意義な早朝になったようだ。
夜明け前の旅というのもなかなかいい。身を切る寒さと森に漂う霧。リフトの秋の森は幻想的だ。
やがて森の小道に日の光がこぼれ始めた。
この歩調を保てば、途中イヴァルステッドの宿でゆっくり昼食をとることができるだろう。
和やかなかつ平和な森の雰囲気に、私達は言葉少なにのんびり歩いていた。
しかし、後ろからついて来る足音が一つ増えた気がしたのは気のせいだろうか。
道を確かめようと、道しるべが見えた時点で街道へ出てみた。
振り返ると、一つ増えた足音の主の姿が見えた。空耳ではなかった。
スカイリムでは珍しくもない、追剥である。
こういう連中をのしてしまうのも、今ではすっかり慣れてしまった。
適当に追剥を始末し、ホンリッヒ湖の西側を望む。
朝焼けだ。
イヴァルステッド南の白樺林に入った頃、悲鳴が聞こえた。
声の主を探すとカジートが膝をついている。どうやらこの近くで、オオカミと妙なウィザードに襲われたというのだ。
付近を捜索すると、意気揚々と引き上げる狼、そして死体になったウィザードを見つけた。
ことはすでに終わっていたようだ。しかし、ウィザードの近くに気になる祭壇が建っている。
ごく普通の樽を土台にして、馬か小さなマンモスかの肋骨をカゴ状に組み、そしてそのてっぺんに恭しく鶏の巣が安置されている……。
傍の串刺しされた血まみれの頭蓋骨がかろうじて、この素人手作り感あふれる祭壇に禍々しさを添えていた。
祭壇には魂石なども供えられていた。
祭壇を調べたイリアは、恐らく死霊術に類する儀式に関係しているのだろうと話した。
近くには、鶏の死骸も散らばっている。これもあの死んだウィザードが、生贄用にでも用意したものだろうか。鶏を連れていたから、彼はオオカミに襲われたのだろうか。
謎は深まるばかりで、これ以上ここに留まる理由はない。私は祭壇の巣に鶏の卵が残っているのに気がつき、今日の昼食にでもと何気なく手に取った。
祭壇の卵を取り上げるや否や、青白い光が鶏たちの死骸で輝いた。やはり死霊術の類だったか。
本来であれば、この不届きな卵泥棒を呪い殺す、オブリビオンからの不定形で気味の悪い化け物でも現れれば様になったであろう。しかし鶏が生き返った程度では、笑うしかない。そして連中は、コッコと鳴きながら地面をつつき始めた。魔法が解ければまた死骸に戻るだろう。
ずいぶんとささやかな死霊術だ。あのウィザード、よほど才能がなかったと見える。
謎の祭壇からイヴァルステッドの橋まではすぐだった。
宿の主人に卵を渡して、軽い昼食を頼むとしよう。
編み込みパンにエール、ゆで卵の昼食だ。
パンをかじっていると、こんなところで飯を食っている時間はないとばかりに、エズバーンがそわそわこちらを見ている。
私は昼食もそこそこに、早々イヴァルステッドの宿を発たねばならなかった。
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1. 無題
ファストトラベル禁止にしようかなぁ
Re:無題