
今日はまずリバーウッドへ帰還だ。
デルフィンに会ったら、話したいことが山ほどある。その主たるものは苦情だが。
村へ近づくにつれ天気は下り坂となるも、私の意気は急上昇中である。まったく、生きてここまでたどり着けただけでも奇跡なのだ。マルボーンなどは、スカイリムにはいられない身にまでなっている。彼はデルフィンに使い捨てにされたも同然なのだ。

宿に飛び込むなり、私はオーグナーに女主人はどこかと鼻息も荒く詰め寄る。
この愛想のない男は、私の剣幕などお構いなしにデルフィンの私室を顎で示しただけだ。

ようやくご対面だ。
デルフィンは例の隠し部屋にいて、当たり前のように私を出迎えた。
ここへきて、私もようやく少々の冷静さを取り戻す。まずは成果の報告だ。こちらとて、理不尽な隠密任務に放り込まれた愚痴から始めるほど子供ではない。

ずさんすぎる潜入捜査の割には、得られるものは得られていた。私は大使館で見聞きしたことを伝える。サルモールもドラゴンについて調査を始めるところだったのだ。

彼らはドラゴン調査のために、エズバーンというブレイズの一員を探していた。
自分がブレイズ最後の生き残りと思っていたデルフィンは、驚いたようだ。だが生き残りが他にもいたと安堵する以上に、貴重な生存者を変人呼ばわりである。
話を進めながら、私はここまで抱えてきた憤まんが急激にしぼんでいくのを感じた。このご婦人にいくら文句や苦情を垂れても、アルゴニアンの面に水だと。オーグナーもこのようにして、彼女に調教されたのだろうか……。

大使館から盗んできたエズバーンの調査書と、牢屋で拷問を受けていた男との話を伝える。
デルフィンは様々な場所にコネがあるようだ。リフテンで会うべき人物の名を挙げた。ブリニョルフ。どこかで聞いた名だと思えば、私の懐具合にケチをつけてきた露天商か。

話が終わるとデルフィンはさっさと宿の女将の顔に戻って、上へあがってしまった。
私はこれまでの旅の疲れを感じながら、デルフィンに預けていた自分の荷物をしょい込む。
これは……。なかなか重いな。ただでさえ自分の体の重さを感じているところだ。いらないものはさっさとルーカンに引き取ってもらうとしよう。

いらないものを売っても、ブリーズホームが購入できる値段には程遠い。そして私の荷物も一向に軽くならない。何が重いのかと袋の底を探れば、竜の骨と鱗がごろごろ出てきた。リフテンに向かうまでに骨と鱗をどうにかしないと、まともに動くのもかなわないな。先にハイフロスガーへ向かい、骨をグレイビアード達に供養してもらうとしよう。

そうと決まればリバーウッドに長居は無用だ。私はホワイトランへ戻り、ジェナッサを誘った。
実は山登り前に、立ち寄りたい場所がある。その場所では、戦力が必要なのだ。

ドラゴンズリーチで油を売っていたリディアも誘う。
彼女は今回の旅は金になるのかと尋ねた。給料が欲しいというよりは、私にブリーズホームを買わせんがため、稼ぐことを覚えて欲しいようだ。……道中ドラゴンに会えれば、退治して腹に飲み込んだ金を失敬できるのだが。

二人の仲間を得て、夕暮れのホワイトランを後にする。
一般に夜の旅は危険だが、私達はそれぞれが自分で自分の面倒が見れる冒険者だ。何の心配もない。それに、私はこの道が安全になっているのを知っている。なにしろついこの間、デルフィンとカイネスグローブ目指して、ここを通ったばかりなのだ。

ホワイトランからイーストマーチへの最大の難所、ヴァルトヘイム・タワー。
ジェナッサとリディアは塔に近づくにつれピリピリしていたのだが、塔に人影が一つもないのを見て不思議がった。ここにいた山賊? とある宿屋の女主人がすべて倒してしまったのだよ。

当初より、この日はこの塔を宿にするつもりだった。時刻は夜10時過ぎ。
もぬけの殻になった建物を散策しながら、ジェナッサはかつて山賊に憧れていたことを話した。気楽な山賊暮らしより傭兵稼業を選んだのは、安定した衣食のためか。
さて、二人には山賊長のベッドを使って休んでもらおう。私は向こう側の塔にある、手下のベッドロールで休もうか。

デルフィンに一言も文句が言えなかったのは悔しいが、この借りはいつか何らかの形で返してもらうつもりだ。エズバーンとやらに会ったら、話してみるか。
今夜の夕食はアップルキャベツのシチュー、ベイクドポテト、エイルダールチーズにはちみつ酒。山賊がいくらか食料を貯めこんでいてくれて助かった。
だが見つけた食料を見るに、当分ベイクドポテトの食事が続きそうだ。
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1. 無題
設定もしっかりしていて且つ読ませる文章なので引き込まれました!
これからも頑張って下さい、応援しておりますm(_ _)m
Re:無題
Skyrimでよくみかける日記っぽい感じで書いています。Skyrimで日記を残した人は大抵お亡くなりになっていますが、ジンクスに負けることなく素手でアルドゥインを殴り倒すまで頑張ります!