ナイトゲートから出ると、すぐさま配達人に呼び止められた。彼は私がどこにいても場所を突き止めて任務を完了する、凄腕の配達人だ。
手紙はまたしても謎の友からだった。
シルバードリフトの隠れ家でシャウトを使ったのがいけなかったのだろうか。死んだ山賊と死んだ古代ノルドしかいないと思っていたのだが。
スカイボーンの祭壇は、ハイヤルマーチとペイルの境界にある山脈のどこかにあったと記憶している。後で場所を調べて訪ねてみよう。
今日はホワイトランの静かなる月の野営地で山賊退治だ。ステンヴァールも一緒だから、苦戦することはないだろう。
街道では野生の狼と偶然進む先が一緒になった。狼と並んで歩く私の後ろから少し離れて、ステンヴァールが警戒しながらついてくる。
マンモスもその気になれば近くで観察できる。全てはキナレスの加護のおかげだ。
ステンヴァールも七千階段に巡礼に行くといい。しかしステンヴァールは、大人しいマンモスを見たら狩りたくなるんだそうだ。狩りたての特大マンモスステーキにかぶりつくのは、ノルド戦士のロマンらしい。
実際にはマンモスは肉より角目当てで密猟されることが多いそうだ。
ロレイウス農場の裏手の丘を登ると、マンモスの墓場のような空き地が眼下に見えた。狩人風の連中が横たわるマンモスの体の周りをうろうろしている。密猟者達だろう。
こちらの姿に気づくと、彼らは武器を抜いて威嚇してきた。敢えて刺激することもない。我々はその場を後にする。
もうじき山賊の野営地だというところで、何やら既視感のある倒れ方をした死体を見つける。
先ほど山賊を二名ぶち倒したばかりなのだが、もしかして。
懐を探ると、家宝のアミュレットを山賊にとられたという内容のメモが見つかった。内容も筆跡も、以前見た記憶がある。
山賊の死体まで戻り、懐から彼らには不相応に高価な首飾りを取り上げ、元の持ち主の懐に移してやる。
つい最近も、これと同じことをしたように思えてしかたがない。
ステンヴァールは遠慮せずとっておけと言うのだが、あくまでも遠慮する。しかしまたもし同じ展開に遭遇したら、その時には取ろうと思う。でないと逆に呪われてしまいそうだ。
野営地に到着した。さて、どう攻めるか。
敵の数はこちらより多いが、基本的に連中は烏合の衆だ。こちらはプロの傭兵がついていることだし、正面突破で十分いけるだろう。
野営地の下手はステンヴァールに任せ、私は建造物近くの山賊達を相手にすることにした。
最初は束になってかかってきた山賊達だが、一人が氷晶で凍りつくと残りはわらわらと逃げだす。シャウトから逃げられはしないぞ。
山賊達を簡単片付け、建物の中庭部分へと出てみた。
鍛冶炉があるのは珍しい。近くにはメモも落ちていた。古代の魔力を秘めた武器を製造する炉らしい。山賊達も面白いものを見つけたものだ。
遺跡内部も掃除しておく。
ここはドラウグルの姿は一切ない。山賊達が片づけたのか、それともこの遺跡は墓ではないのか。炉があったから町か村だった可能性もあるか。
奥にいた山賊長を手下ごと絞めて仕事完了だ。報酬をもらいにホワイトランまで戻ろう。
後はのんびりホワイトランへの道のりを楽しむだけ。
途中、荒野の池に剣を握った怪しげなスケルトンの腕を見つける。何があったのかは知らないが、いかにもとって下さいと掲げられた剣を見せられると、取りたくなくなるものだ。大概罠だろうしな。
ステンヴァールも両手剣使いなので、このオークの剣は不要だ。
ホワイトラン到着。暗くなって店が閉まる前に、生鮮食品だけ購入しておく。カルロッタの店はいつも新鮮で見事なトマトが並んでいる。ペラジア農園から仕入れているそうだ。そこの青いリンゴももらおうか。
さて、報酬を。
ドラゴンズリーチを訪ねると、ちょうど夕食時だった。執政のアベニッチが首長の弟フロンガルに何か迫られている。
フロンガルはホワイトランがもっと積極的に内戦に関わるべきだと考えているようだ。
二人の話が一段落するのを待って、山賊退治の報酬をもらった。100ゴールドか。安いな……。
ドラゴンズリーチであくびばかりしていたリディアを誘い、バナード・メアへ繰り出す。
なんだ、デルフィン。まだここにいたのか。
彼女は相変わらず一方的だ。サルモール大使館に忍び込む手筈が整ったので、明日あたりリバーウッドへ来いと言う。了解した。あなたには逆らわないでおくよ。
山賊退治の報酬で、ささやかな宴会だ。
歓談の中、リディアは私に早く家を買うように勧めた。
従士は本来その土地の名士に与えられる称号で、通りすがりの旅人に与えられることは間違ってもありえないという。そのため、従士の枠を狙っていた者達から少々ねたみを買っているそうだ。バルグルーフ首長は法外な報酬を与えてくれたわけで、その寛大さに応えないのは従士としていかがなものかというわけだ。身分をもらうと色々な責任がついてくるのだな。
現在売出し中の家で最も手軽なのが、ブリーズホームの5000ゴールドらしい。
そうはいっても、先立つものがないのでどうにもならない。今の私の稼ぎ方では、百年たっても無理ではなかろうか。とにかく努力しよう。
ステンヴァールとはここでお別れだ。
素手で戦う私に、随分気の利いた別れの言葉じゃないか。イーストマーチへ寄ることがあったら、またよろしく頼む。
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