やがて道の向こうに砦の塔が姿を現した。あれがダンスタッドだ。
街道は砦内を突き抜けて通じている。関所か街道沿いの町のような雰囲気もある。道の右手側に見えてきた建物が「よろめきのサーベルキャット」のようだ。
ところが人影が見当たらない。砦のどこを見渡しても気配がない。
人の姿が見えなかったのは、私の近眼のせいだった。
山賊どもが遠巻きに侵入者の獲物を観察していたのである。彼らは見張りの合図で一斉に襲いかかってきた。
ダンスタッド砦の正式な持ち主達は彼らの餌食になっていたようである。
屋外の山賊どもを蹴散らし、酒場の中にいた連中も残らず仕留めた。
ドラウグルに比べたら、遥かに弱い。それだけにノルド遺跡を守るドラウグル達は、生前はさぞ強い戦士達だったのだと実感できる。
山賊達を片づけて酒場を調べると、寝室から店主の遺体が見つかった。山賊達は砦の住人を皆殺しにしてしまったというのか。
さらに室内を物色し、生き残りがいるか確かめようとするも徒労に終わる。顔を上げると酒場の名前にもなった酒好きサーベルキャットのはく製が目に付いた。
今晩ここで一杯やれないとは、残念なことだ。
今晩飲み損ねたハチミツ酒の恨みと旅人の安全のため、私は砦の山賊どもを一掃することにした。
砦の指揮官室を見つけてこっそり侵入してみる。室内に誰かいるが、あれが頭だろうか。
弱い。拳数発で沈んでしまった。ただの下っ端だったようだ。
山賊長は塔の階上にいた。
さすがに手ごわい。しかしこちらもヒストの力とシャウトで負けじと戦う。
山賊長を仕留めたら、あとは残党狩りである。
ここの山賊達はスキーヴァ―を戦わせ、賭けをして遊んでいたらしい。檻にたくさんのスキーヴァーが閉じ込められていた。鍵はレバーで簡単に開くようだ。
キナレスの尊い恩恵によって、私は獣の敵意から守られている。放たれたスキーヴァー達は一目散に山賊達へ向かっていった。
闘技用スキーヴァ―だけあって相当強い。
砦を探すと彼らの餌と思われる大量のチーズもあった。彼らにはこれをご褒美として与えてやろう。
砦の外はすでに真っ暗闇である。今日は予定通りここに泊まるとしよう。
スキーヴァ―の餌はたくさん見つかったのだが、山賊達は何を食べていたのだろうか。厨房をのぞくと、解体されたスキーヴァ―や丸焼き、しっかり焼いた皮の山が見つかった。戦わせてよし、食べてよしというわけか。
パンとハチミツ酒を探し出し、焼いたスキーヴァ―の皮を一枚とった。スキーヴァ―の皮は、お代わりし放題だ。量だけは豪勢な夕食になった。
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