コスナッチをガイドに雇い、依頼された積荷を取り返しに出立する。
なかなかいい天気だ。今日一日持ってくれるとうれしい。
しかし空が晴れていれば、腫れているだけの心配もあるようだ。
どこまでも見通せる青空に、衛兵達はドラゴンの襲撃を恐れている。マルカルスの堅固な町であればドラゴンの炎も怖くはなかろうが、追い払うとなると話は別だからな。
幸いにして、昼近くになると空はうすぼんやり曇ってきた。
どうやら雨になりそうだ。
コスナッチの指示で街道から離れ、北部の山へ通じる坂道へと入る。
そこかしこに残る古代の柱はドワーフ達の遺物だ。他の地方であればノルド遺跡の薄黒い石柱が林立しているのだが。これもリーチ地方の特色か。
本当にこの道でいいのだろうか。道というよりは、雨が降った時にできた斜面の溝の中を歩いている気もする。コスナッチがこっちでいいというのであれば信じるしかない。少々の不安は、彼が酒を手放さないことだ。素面でいるのがつらい類の人間らしい。
そろそろ昼だ。あの小さな水たまりの近くで食事をとってもいいかもしれない。
しかしコスナッチはやめた方がいいと言う。この辺りはすでにフォースウォーン達の縄張りで、いつどこから狙われるか分からないというのだ。一瞬の油断が命取りになるということか。
昼を諦め先へと進む。
あの岩の向こうに見えるのは、ドワーフ遺跡だろうか。
ドワーフ遺跡内部は、まだ警備装置や罠が稼働していて、うかつに足を踏み入れると危険らしい。となると、あれほど巨大なマルカルスの町を安全に暮らせるように作り変えた先人達は、並みならぬ勇気と忍耐を持っていたに違いない。苦労がしのばれるな。
危険はフォースウォーンとばかり思っていると、大自然の悪意の化身、スプリガンに襲われる。
リーチ地方は、なかなか一筋縄ではいかない。
ようやくドルアダッチ要塞に到着する。休む間もなく、表を守っているフォースウォーン達との戦闘が始まった。
まずは挨拶代りのシャウトと行こうか。これまでの戦闘で、連中にはいかなる情けも容赦も無用と心得ている。
あいも変わらず「リーチはフォースウォーンのものだ!」と叫ぶ彼ら。
すまんが、アルゴニアンの私に言われてもいささかも腑に落ちない。ノルドとの争いは、ノルド相手に発散してくれ。
ドルアダッチ要塞の本拠地は、洞窟の中にあった。
なんとも幻想的な場所だ。巨大な空洞には畑や溶鉱炉の煙が見える。ドワーフ遺跡には程遠いにせよ、かなり立派な岩穴住居だ。
素面でいられない男コスナッチ。時折向かってくる単体の敵に対して、「よーし、真ん中の奴を狙え」とか口走っているが……。大丈夫か。
酔っていなくても、洞窟には敵の姿が多く見える。なるべく各個撃破を心がけて不利にならぬようにせねば。なにせこちらは二人だ。しかも一人は、物が三重に見えている酔っ払いだ。
氷晶のシャウトを撃ちこみ、一部の敵を行動不能に陥れる。この間に別の敵を確実に沈める。
私が前線に立ち、コスナッチの弓の援護を受けながら隙を見せない攻撃で次々とフォースウォーンをなぎ倒した。
酔っ払いに後衛を任せるのはこれが初めてではないが、いつ後頭部に矢が突き刺さるかとヒヤヒヤものだ。
手下どもが一掃されると、例のブライアハート様がお出ましだ。
事件は間もなく起こった。
ブライアハートの放つ火炎球に耐えられず、私は大きく後退した。今が好機と私を追ったブライアハートの前に、畑で飼われていたヤギが突然飛び出してきたのだ。
ヤギはただ、この人間どもの戦闘に迷惑して逃げまどっているだけだったはずだ。しかしブライアハートの魔法がヤギに当たるや、ついにヤギがキレた。連中は怒らせると厄介なのだ。
ヤギの突撃で、ブライアハートはあっけなく倒れた。運悪く角の先がむき出しの新しい心臓をえぐったのだろうか。一瞬の出来事に、私も何が起こったか戸惑った。
いずれにせよ、このヤギはドルアダッチ掃討戦を見事なフィニッシュで飾ったのだった。彼女を今日の豪勢な昼食にする計画は、取りやめた方がよさそうだな。
フォースウォーンの宝箱から、奪われた積荷を取り返す。これでコスナッチも明日から運搬人の仕事に戻れるはずだ。
昼食……。ヤギの丸焼きを食えないとなると、懐のしなびたリーキくらいしかないのだろうか。
私が空っぽの腹をさすっているとコスナッチがフォースウォーン達の備蓄を見つけだし、それでささやかに腹を満たすことができた。
立ち去り際、一枚の地図が目に留まる。
一応各地のフォースウォーン達と連絡を取り合いながら何らかの計画を練っているようだ。味方以外の動いている生き物に襲いかかるだけではなかったのか。
リーチ地方の地図には、他の仲間の拠点も記されていた。
場所を覚えておいて、近づかんようにせねば。まったくもって連中の凶暴さは手に余る。
ドルアダッチで少々時間を過ごし過ぎたらしく、1時間も歩かぬうちに空が陰ってきた。
こんな山の中で一夜を過ごしたくはない。私達は小走りに先を急いだ。
残念ながら、夜の足の方が速かったようだ。追い打ちをかけるように、私はちょうど松明を切らしていたことに気づく。
真っ暗闇の中を手探り状態で歩くことになってしまった。コスナッチが先導してくれなければ、寒さに震えながらその場で夜を過ごすしかなかっただろう。
深夜過ぎ、無事にコルスケッガー鉱山へと到着する。
ここは前日、フォースウォーンから鉱夫らに鉱山を取り返してやったばかりの場所だ。
気兼ねなく、一晩の宿を借りるとしよう。
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1. ヤギ…(笑)
寒いと動けなくなっちゃうアルゴニアンにとって、氷の魔法に長けているフォースウォーンはさぞ危ない敵でしょうね。私もよく凍え死にました。
そして、ヤギは怒らせてはいけないというのがよくわかりました…こんなことってあるもんですね(笑)
家畜にやられてさぞブライア・ハートも無念でしょう。
最近、AFTの人数制限に物足りなさを感じてUNIさんのskyrim party system導入させて頂きました!
おしゃべりの多いフォロワーを数人混ぜているとべらべらしゃべりまくってとても賑やかで、旅と言うより遠足している気分になります(笑)
時々仲間割れを起こして不死フォロワーたちが終わらない戦いをおっぱじめると、インペリアルでプレイしている時は皇帝の声で黙らせてます。これがますます遠足の引率してるみたいでおかしいです(笑)
そういえば、採集AIでまた少し不思議なことがありました。
まだ検証不足なのですが、もしかしたら「垂れ苔」は魚やトンボの様に指定してやらないと採らないかもしれません。レニィがいくら待機で待ってても垂れ苔だけ採ってくれなかったので。
(最近、待機してればその間中ある程度採集をしていてくれることに気づき、時間短縮が出来るようになりました。)
また、マイナス補正のある食物をせっかく作ったのに、ゲーム内に置き、それを取ろうとするとCTDするという正しく死の料理になってしまいました。
SKSE入れて毒殺MOD入れられる日はいつになるやら…そろそろ諦めて導入してみようかとも思ってます(´・ω・`)
長々と失礼しましたm(__)m
Re:ヤギ…(笑)
ここしばらく暑さでばてていたり、別のゲームに浮気していたりしてました。先日ようやくパソコンを新調できたので、今はSkyrimの環境を整えるのに四苦八苦しているところです。SKSEやその他のツールなんかも、入れ直すとなると大変ですね。設定の仕方とか忘れてしまったのもあります;
アルゴニアン日記は数か月前に撮りためたSSなので、当時の記憶は定かではないのですが、ヤギのインパクトだけはよく覚えています。ヤギがブライアハートに向かっていった時は、(すぐやられるだろうけど、数秒の時間稼ぎはしてくれるかな。今のうちに薬で体力回復しよ)くらいのつもりだったのですが、結果は……(;゚Д゚) ヤギに手柄もオチも全部持っていかれちゃいました。
Skyrim Party System使ってくださってありがとうございます~。
仲間割れをおさめるのに「皇帝の声」を使うと、ますます引率の先生みたいですね。ノルドの「バトルクライ」は、確実に先生の雷になるのかも。
「垂れ苔」は、キノコ類と同様Floraで探して取れたと思います。(Skyrim構築中で確認取れないのですが、採取AI作成中、採取テストで取ってくれた記憶があります)
ほとんどが高い場所に置いてあるので、NPCにはうまく探せなかったり取れなかったりするのかも。NPCはオブジェクトの重心しかアクティベートできないっぽくて、採取するのにプレイヤーよりはるかにシビアな位置取りが要求されるみたいです。位置取りが難しいときは、「Procedure:Acquire」より「Procedure:Activate」で採取させたほうが取りやすくなるかもしれません。Activateの方が、オブジェクトとの距離が開いていてもどうにかなることが多いです。
Skyrimの再設定が終わったらCKを入れて、またすこしずつブログを再開できたらと思います。秋のSkyrimリマスターも楽しみですね。Modの適応については少し不安がありますが(^-^;